Vol.202 2025年7月号
TOPICS
リフレーミングという考え方
大谷選手がかつて、「イラっときたら負けだと思っているんで」と発言しましたね。イラっときたら負けだとか、今まで考えたこともなく、本当に人間の本質が出来た人だなと思いました。
人間なんだからイライラすることがあるのは当たり前で、その感情は、自分の中で時間と共に徐々に消化されていくものもあれば、時にしばらく引きづるものもあると思っています。
ただ自分がイライラして不機嫌になることによって もしかしたら周りに人に迷惑をかけているかもしれないと思うと、イライラして良いことはやっぱりないなと思います。
私も娘と些細なことで口喧嘩になることが時々ありますが、私が真っ向から正論を言っても、娘が怒って、ぐずるだけなので、最近は言い方に気を付けようと思っています。
リフレーミングという、物事の見方や枠組み(フレーム)を変えることで、新たな意味や価値を見出す方法があるようで、これは子育てや対人関係でも参考になる考え方だと思いました。
たとえば、「頑固な人」という否定的な印象も、「信念を貫く人」と捉え直すことで、その人に対する感じ方が変わります。状況についても同様で、「失敗した」、「間違えた」と思っていたことが、見方を変えれば「学びのチャンス」になることもあります。
子供と衝突しないためにリフレーミングを使うには、まず子供の言動を別の視点から見てみることが第一歩のようです。たとえば、反抗的に見える態度も「自分の意見を持てるようになった成長の証」と捉えると、イライラが少し和らぎ、「なんでそんなことするの?」ではなく、「何を伝えたいのだろう?」と問い直すことで、対立よりも対話を生み出せるようになります。
以前、幼稚園の全体集会で「お子さんのことを否定しないでください。」と園長先生から言われたことがあります。悪いことをしても、まず「何をしたかったのか?」を理解し、気持ちに共感してあげてくださいと。その頃は、なるほどと思って実践していましたが、最近では口答えに対するイライラの方が強くなり、つい喧嘩になってしまうこともありました。すぐに仲直りはするのですが、やはり毎日穏やかに過ごしたいので、私自身がリフレーミングをする癖を身につけていきたいと思います。
(T2)
ヘタ字のコラム
いわゆるひとつの二重表現論序説 の巻
二重表現といわれる言い回しがあります。たとえば「馬から落ちて落馬した」「頭痛が痛い」などなど。いうまでもありませんが、前者は「落馬した」後者なら「頭痛がする」でいいわけです。
「一番ベター」なんていうのも、少し変わった二重表現でしょうか。プロ野球中継で、解説者がよく使っているような気がします。もちろん言いたいことはわかるし、わたし自身も口にしたことがあるかもしれません。にもかかわらず、その言葉を聞くと「ベスト」という便利な言葉(?)があるのに。ついついこう思ってしまいます(*1)。
◆ ◆ ◆
この6月にミスタープロ野球こと長嶋茂雄さんが亡くなりました。長嶋さんの引退セレモニーにおけるスピーチは「我が巨人軍は永久に不滅です」ご存じこの名セリフで締めくくられます。
じつはこのセリフには、二重表現が含まれているというんですね。わたしは気づきませんでした。それは「永久」と「不滅」です。
不滅は決して滅びないということ。ですから、そもそも永久という意味が込められている。したがって二重表現というわけです。言われてみれば、といったところでしょうか。
とはいえ、このセリフは広く人口に膾炙(かいしゃ)し、多くの日本人の脳裏に刷り込まれてしまった。したがって「我が巨人軍は永久です」ではなんとなく物足りません。「我が巨人軍は不滅です」でも違和感を感じます。日本語としては、いわゆるひとつのノープロブレムではないけれど──やっぱりここは「我が巨人軍は永久に不滅です」←こうでなきゃ困る(*2)。
日本語の言い回しの常識まで変えてしまうとは・・・その点においても長嶋茂雄は偉大だった。
(*1)ベストについては「一番ベスト」なる二重表現もよく耳にします。
(*2)困るのは “セリフの言い回し” です。内容、つまり巨人軍が永久に不滅でなくても──わたしは困りません(熱烈なジャイアンツファンは困るのかな)。
<問い> このコラムには、二重表現をもうひとつ忍ばせてあります。違和感なく読めてしまったかもしれませんが──さて、それはどの部分でしょうか。 答えは180度転回して下記へ。
(駿馬)
今月のことば
髪の毛が後退しているのではない
私が前進しているのだ
――― 孫正義(ソフトバンクグループ会長)
*リフレーミングといえば、この言葉が真っ先に思い浮かびます
今月のすうじ
34日
今年7月~9月の東京における熱帯夜の予測日数。およそ3日に1日。熱帯夜は就寝中の熱中症リスクを高める。備えとしては、1にエアコン(朝までつけたままにする)、2に水分補給(就寝前のコップ1杯の水)とのこと。
編集後記
今月発行の今月号のコラム「ヘタ字のコラム」では、二重表現について論じて考察しました。二重表現は知らず知らずのうちに無意識に使ってしまうことがしばしばよくあります。
だれかに指摘されてから後で後悔しないよう、あらかじめ事前に、抜かりなくしっかりと、確認をチェックしておきたいものですね。
(T0)
・二重表現を多用 → 語彙が豊富
このリフレーミングはどうでしょう?
* 掲載されている情報や制度は、各号の発行当時のものです*