Vol.178 2023年7月号

TOPICS

変わりゆく「回転」の行方

某回転寿司チェーンに行った。おなじみの、ボックス席の間にヘアピンカーブしたレーン。
しかしそこに並ぶのは、客が席で端末を使って注文したもののみ。
おいしそうだなと思ったからって、取ってはいけない。

「回転」寿司って、こういうことだっけ?

偶然の出会い的な、エンターテイメント性みたいなものは、回転寿司における「回転」が内包する重要な魅力の一つだったのではないか?
注文品しか流れないのなら、このレーンはただの配膳機能にすぎない。
単なる配膳用レーンとすると、じれったさもある。
下流の席のとき、うっかり自分の注文品を向こう側のレーンに見つけてしまうと、届くまで長い道のりだなと思う。
合間に気まぐれに取れる寿司は流れていないから、待つしかない。

最早、到着ブザーが鳴った時以外はレーンを見なければいいのか……?
不便はあまり感じないが、どこか寂しさのようなものがあった。

しかし時代の流れを見れば

各席に到着をお知らせする機能が普及する前は、注文品は店員さんが運んでくれるか、レーン付きカウンターの内側の店員さんが直接渡してくれるか、だった。
そこから注文品を同じレーンに流したり、専用レーンにしたりと各社が工夫をこらしながら今がある。
配膳行為が激減し、(時には厄介な)客との接触が減ることで、フロアスタッフの必要数と負担が減るのは、会社も従業員も歓迎だろう。

注文品を専用レーンで流す方式では、通常レーンには取っていい寿司が流れており、気まぐれに食べる楽しさも従来通り。
だが大半が注文するのならば、通常レーンの存在自体が非効率だ。
近年話題の「フードロス」の観点からも非注文品は問題ありといえるかもしれない。

基本的に冷えていて、順次配膳でよい商品が多いこと。
衛生や労働環境の改善、環境問題、苦しい経済状況、そしてマナーの悪い客との攻防戦といった、様々な問題に対応していかなければならない現代社会。
それらを鑑みれば、注文品だけを流すほうが、合っている、もしくは、やむなしという状況な気もしてくる。

新たな回転の求心力を

レーンの役割として今重要なのは、紹介・宣伝を回すことだろうか。
新商品や期間限定品、人気ランキング等のポップを乗せた皿が、注文と注文の間の空白を埋め、賑わいを演出し、従来の回転寿司で起きていた「お!これは!」をもたらす。
これはすでに実施されているが、ムラがあったりして、まだまだ従来の回転への期待を超えられていないようにも感じている。

あるいは別の何か……メニュー提示のためだけにレーンを維持するのは無駄が過ぎると思うが、回転寿司が回転寿司たるためにこの回転を死守するというのなら、そこに新たな魅力をもたらせないだろうか。
もう一度注目したくなるような、何かを。

安くても寿司は寿司、大なり小なりいつもとは違うご飯時を期待するものである。
時代に合わせた各社の工夫が、「回転寿司」のもつ不思議な高揚感を提供し続けるものであってほしいと思う。

(T1)

ヘタ字のコラム

ChatGPT始末記 の巻

先月号(2023年6月号)で話題にしたChatGPT。この対話型AIをさっそく試してみました。
衆議院の解散が取りざたされていた時期だったので、まずこんな質問から。

Q.衆議院の解散はいつ?

A.申し訳ありませんが、私は2021年9月までの情報しか持っていませんので、具体的な日付やイベントに関する情報は提供できません。衆議院の解散は政治的な決定によって決まるため、最新の情報に基づいて解散が行われる具体的な日付を知るためには、現在の政治状況やメディアの報道をチェックする必要があります。最新の情報はニュースソースや公式の政府発表を参照してください。

うむ。さすがのAIも未来のことはわからないわけか(当たり前ですね)。では、過去のことを聞いてみよう。

Q.前回の解散はいつですか?

A.前回の衆議院解散は、2020年10月14日に行われました。

そうですか。でも、その答えは検証する必要があります。理由は、先月号のこのコーナー「ラテンアメリカ気質のChatGPT の巻」をご覧ください(このあとにも要約があります)。
ということで、衆議院のホームページで前回の解散日を調べてみると──なんと、2021年に行われた模様です。もしかして間違えている⁉ 指摘してやれ。

Q.2021年ではないですか?
すると、

A.おっしゃる通り、おっしゃる通り、大変申し訳ありませんでした。前回の衆議院解散は、2021年10月14日に行われました。再度申し訳ありませんでした。

平謝りです。AI、まさかの低姿勢。
やはり、いろいろ指摘されているように、ChatGPTは何かを調べるには(知識の検索には)向いていないのかもしれません。

最後に、ものはついでで「ラテンアメリカ気質のChatGPT の巻」を150字以内で要約してもらいました。結果は──。

A.ラテンアメリカ人は知らない道順を尋ねられると、デタラメな道順を教えるが、善意からだ。同様に、チャットGPTも知らないことを尋ねられると、もっともらしい回答を返すが、その信頼性は限られている。それぞれの特性により、正確な情報を求める場合は他の手段を使うべきだ。        (127文字)

国語の先生なら、この答えに合格点を与えるでしょうか?

*質問も回答もすべて原文のままです。

(駿馬)

今月のことば

一日延ばせばやるべき量は倍になり、やる気は半分になりまするぞ

── 映画「超高速! 参勤交代」より

今月のすうじ

40%

転職サイト大手のビズリーチがChatGPTで職務経歴書を自動作成する機能を開発。その新機能を使った人は、使っていない人に比べて「平均40%多くの誘い」を企業から受けたという。もちろん、ChatGPTが経歴を“盛った” からではなく、スキルの言語化がうまくいった結果らしい。ここにもChatGPTの影が・・・。

編集後記

先日ついに娘のランドセルをイオンで買いました。娘は選んでいる途中で、どうでもよくなったみたいで仕舞にはもうなんでもいいという始末。結局、色はキャメルで軽くて大容量のに決定。背負っている姿を見るとなんだか感慨深くなり、もうすぐ小学生になるんだなぁと実感がわいてきました。肩ベルトに防犯ブザーのフックがついていたり、タブレットケースがおまけでついてきたりと、ランドセルから時代の変化を感じとることができました。

(T2)

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