Vol.176 2023年5月号
TOPICS
創作と頒布価格の話
趣味で作って趣味で頒布する「即売会」(代表的な「コミックマーケット」はテレビに映ることもありますね)にも、活気が戻ってきました。
漫画だけでなく様々な表現方法がありますが、一様に悩むのが、価格設定です。
■相場?
素材も制作方法も様々で、価格設定も幅がある中、ふんわりとした“相場”的なものはあるなと感じています。
漫画冊子はB5サイズ本文モノクロ16〜32ページで500円前後、音楽CDは1枚1000円という売り方/収録曲数は〜10曲ぐらい、がよくある感じかなと思います。
商業作品と比べて、どうでしょうか?
同人漫画がページ比でみれば高いのは明らかですが、内容でみれば、商業では発表できないような尖ったものがあったりして、気に入る人には大きな価値があります。
音楽CDも1000円で気に入ったアルバムに出会えれば、お得感があるかも。
制作費に加えて宿泊費や交通費を考慮すると、頒布価格はどんどん上がります。そのあたりの線引きは曖昧で難しいし、売れないのも悲しい。
なので、まあ好きでやってるんだからそこまでしなくていいや、と“相場”くらいにする、ことが多い気がします(その場合ほとんど赤字です)。
■たまに燃える
(例1)「高すぎる」と批判的にSNSに書き込んだり、作者本人にメッセージを送ったりする。
(例2)発行部数の多い人が“相場”よりも随分と安く頒布し、他の活動者が従来基準の価格設定にしづらくなった、と批判する。
これらが拡散されコメントがぶつかり合い、いわゆる炎上のようになることもあります。
例1のタイプについては、そもそも、値段に見合わないと思うのならば、買うのをやめればいいだけでは?と思います。食料品や電気とは違うので、買わないという選択肢もあるはずです。
■何を大事にするか
重要だと思うのは「自分の作品の価値を自分で下げすぎない」こと。周りを見れば、商業・非商業を問わず、素晴らしい作品はたくさんあります。
でもそれなりに自信をもって、自分基準で決める。でないとストレスがたまりますし、ある程度のコスト回収もできず、活動を続けていくことが難しくなるように思います。
加えて、価格設定の強要や、他者に合わせた低価格が広がれば、趣味の創作そのものの価値を自ら下げることになり、界隈全体の衰退も招くのではないか……これが一番つまらない結末です。
だから、不安は付きまといますが、下げすぎには気をつけたい。
併せて、買う方の作る人に対するリスペクト、も大事なのではないかと思います。発想と技術と意欲に敬意を表して、良いと思ったものを買う。
そして、高すぎると思ったら買わない、お金が足りないときは諦める。楽しい創作活動のために、そのシンプルさを忘れないでいたいと思います。
■そうはいってもわからないが
……などといろいろ考えながら、とあるイベントに参加するために、知人たちの作った音楽を収録したCDを制作しました。
参加人数5人による10曲、収録時間は約25分、手焼きCD、で“相場”的なものも考慮して、頒布価格は1000円。妥当かはわかりません。
でも、相談して納得して決めたのだから、これでいいのです。
(T1)
ヘタ字のコラム
キャッシュフロー経営論序説の巻
この大型連休中に、日帰りの小旅行に行きました。家族で行楽地へ向かうのは数年ぶりです。
その日、往復で10時間(!)ほどハンドルを握っている中で目についたのは、レンタカーの多さ。以前は、これほどレンタカーを見かけることはなかった。
これは「持たない」人が増えてきたことの証左に思えます。持たずに、必要なものはその都度手に入れる。そんな選択をする人が増えてきたのでしょうか。
◆ ◆ ◆
かつて「キャッシュフロー経営」なる経営手法が流行った(?)ことがあります。
これからはキャッシュフロー経営の時代だ。いち早くキャッシュフロー経営に転換せよ、etc・・・。こんな言い回しをよく耳にしたものです。
横文字にするとカッコよく、なにやら特別なもののように感じてしまいます。
でも、キャッシュフロー経営といっても、結局のところ、キャッシュ(つまり通帳の残高)を最大限にするよう会社の舵取りをしていこう。こんなごくごく当たり前のことにすぎません。
それは特別なことではなく、これからの時代じゃなくても、いつだってそうすべきに決まっています。
なぜなら、会社にとっていちばん大切なのは通帳の残高。通帳に常に必要な残高があれば、会社は絶対につぶれませんから。
じつは、キャッシュフロー経営には、もうひとつの捉え方があります。それは「持たない経営」という側面です。
会社が資産を持つと、通帳の残高と会社の利益の間の差が大きくなります。
持たなければ、相対的に小さくなる。通帳の残高は目に見えるので、それと利益との差が小さくなれば、会社の舵取りはそれだけしやすくなるというわけです。
*持たない経営とは───在庫は持たない。必要な分だけ調達する。車は持たない。リースする。自社ビルは持たない。賃借する。その他にも余計な資産は持たない。
究極的には、売上代金の未回収金(売掛金)も持たない。つまり現金でしか売らない。
すなわち、持たない経営で「持っていいのはキャッシュだけ」
◆ ◆ ◆
持たない経営を突き詰めれば、理想は、朝仕入れたバナナをその日のうちに売り切る、バナナのたたき売りのような形態に行き着くんじゃないか。
こんなことを、東北自動車道の渋滞の中、疲れて寝ている家族を横目に見ながら考えたのでした。
(駿馬)
今月のことば
A .考えるだけ無駄です。
── 「泣きたい日の人生相談」(岸見一郎著)より
*将来の不安をうったえる相談に対する回答。人は「今、この瞬間」にしか生きられない。将来のことは、「その時」がきたら考えればいい。
今月のすうじ
60年
町田市歌が制定されて、今年で60年(1963年5月制定)。かつて⻑く町田市に住み、いまも事務所はあるけれど、町田市歌なるものがあることは初耳です。気になる方は町田市のHPに音声ファイルがあるので、ぜひ。
編集後記
娘が年⻑になりました。ということで、ついに「ラン活」の始まりです。ラン活とはランドセルを選ぶ活動のことです。私が子供の時は、男の子は⿊、女の子は赤ってなんとなく暗黙の了解のような感じで決まっていたので、私自身がランドセルを選んだ覚えはありません。ですが、今やびっくりするぐらいの種類や色があり、値段もピンキリです。ラン活も娘との貴重な時間です。楽しんで選んで、ラン活も娘との大切な想い出の一つになりますように!
(T2)
* 掲載されている情報や制度は、各号の発行当時のものです*