Vol.171 2022年12月号

       
【アーカイブ記事】掲載されている情報や制度は、各号の発行当時のものです

TOPICS

熟成のすすめ

熟成させるといいものがあります。
たとえばワイン。たとえばお肉。いい頃合いまで待つ。あんばいがよくなるまで時間をかける。こんな熟成を経て、それらはいい味を出します。

さて、わたしは税理士です。ワインやお肉は扱っていません。それ以外にも熟成に向いているものなんて、扱っていないように思えます。
でも、じつは、税理士の扱うものにも熟成させたほうがいいものがある。
熟成すべきもの───それは申告書。
申告書を完成させても、すぐには出さない。時間をおく。←これが申告書の熟成です。

熟成させていると、処理の誤りに気づくことがあります。別の有利な処理方法(つまり税金が少なくなる方法)があったぞと思いつくこともある。そんな気づきや思いつきは、なんの前触れもなく唐突にやってきたり、あるいは、だれかとの会話がヒントになってやってきたり。どちらにしても、これらはまさに熟成の効用です。

とはいえ、申告書の熟成のためには、その前の段階の処理を早めに済ませておく必要があります。申告期限ギリギリの完成では、熟成もなにもありませんから。
文章にも熟成が必要です。書いたら時間をおく。ひと晩寝かせる。それによって自分が書いた文章が客観的にみられるようになります。

あなたの仕事にも、熟成すべきものはありませんか。

(高橋)

ヘタ字のコラム

医療費控除は10万円? の巻

気がつけば12月。このままだと、あっという間に2023年になって、そうなれば間もなく所得税の確定申告が始まります。
確定申告でおなじみの控除といえば、なんといっても「医療費控除」ですよね。
医療費控除で、よく耳にする嘆きの声があります。
いわく。もう少しだったのに。もう一息で医療費が10万円超えたのに。超えていれば控除が受けられたのに・・・。
嘆きの根底にあるのは、「医療費控除は10万円を超えなければダメ」という認識です。

それは、ふかく日本人の心に刷り込まれている気がします(そんなオーバーな・・・。まあ、それはさておき、その超えなければならないカベを「足切り額」と呼びましょう)。

足切り額は──収入が給与だけの人は──年収によって決まります。つまり、足切り額は人によってマチマチというわけ。年収は人によってマチマチですからね。
ただし、年収およそ300万円以上(*)の人は一律10万円(年収がマチマチでも足切り額は一律)です。それ未満の人が、年収によってマチマチで、10万円より少なくなる(年収が少ないほど、足切り額がちいさくなります)。

つまり、みんながみんな、全員そろって「医療費控除は10万円」ではないのです。
医療費控除は、いっしょに住んでいる家族の医療費を合計して、代表してだれかひとりが控除を受けることができます。

ということは────家中の医療費を集めて10万円なかったら、家族の中にだれか年収300万円未満の人がいないか確認しましょう。
いれば、その人の足切り額と医療費を比較。足切り額を超えていたら、その人が医療費控除が受けられます。
医療費控除。あきらめるその前に、ぜひご検討を。

(*)正確には、297万2千円以上

(駿馬)

今月のことば

異質な文化に育った混成集団は強い。
(中略)生き物は混ぜれば強くなる。個人も組織も同じです。

── 「歴史を活かす力~人生に役立つ80のQ&A~」(出口治明著)より

今月のすうじ

58.1%

職場忘年会「開催賛成派」の割合。反対派の41.9%を上回る。でも、今年、忘年会を開催する割合は18.0%にとどまる。賛成だが、開催しないとはこれ如何に。コロナ禍で行動制限のない年の瀬は3年ぶりでも、現実的にはまだまだ多くは慎重派?

編集後記

先月調査に行ったスマホ、結局別のところで買いました。スペックの良い端末は快適です。慣れてきたころに以前使っていたものを触ってみたら、画面表示の滑らかさが全然違いました。スペック表で知ってはいましたが、体感すると、ああ、もうこれには戻れないかも……これは一度いいものに慣れてしまうとランクを下げるのはしんどい、というアレだなあ、と。いいものが欲しいという気持ちは活力にもなりますが、贅沢は求めたら際限がない、ということは忘れないように気を付けたいものです。

(T1)

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