Vol.135 2019年12月号

       
【アーカイブ記事】掲載されている情報や制度は、各号の発行当時のものです

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<2020年版>年収23億円です。税金はいくらですか?

Q.仕事で大きな契約を結びました。7年の契約で、1年あたり23億円の収入です。税金はいくらになりますか? 元タレントの妻(現在無収入)がいます。
  ──TM・25歳・男──

もしも、こんな質問が届いたら・・・
比較のために、まずは2014年の税法で計算してみましょう。すると、年収23億円に対する税金(所得税と市県民税の合計)は、約11億6千4百万円です。それがなんと! 年収が同じでも、2017年の税法で計算すると、税金は12億7千9百万円ほどに。およそ1億1千5百万円の増税です。2014年と2017年の間に、所得税の最高税率が5%上がったんですね(40%⇒45%)。23億円に対して5%なので、税金も1億1千5百万円アップというわけです。

では、<2020年版>年収23億円に対する税金は───

答えは、およそ12億7千9百万円。んっ? 2017年と変わらないじゃないか。いやいや、金額が百万円単位なので、変わらなくみえただけ。細かく表示すると、
2017年:1,279,248,000円 ⇒ 2020年:1,279,813,000円
じつは、およそ56万円の増税です。もともとの金額が巨額なのに加えて、2014年⇒2017年の1億1千5百万円増のインパクトが大きい。56万円なんて増税のうちに入らないように感じてしまいますね。
でも、増税です。なぜ56万円増えたのか。

2017年と2020年では、給与所得控除の上限が引き下げられ、配偶者控除・基礎控除に対する所得要件が追加されました。これだけの収入ともなれば、無収入の元タレント妻がいても配偶者控除はゼロ。さらに基礎控除もゼロ。結果、年収23億円の人の課税対象額はおよそ101万円増えてしまった。増えた金額に対して、税率(所得税45%と市県民税10%)を掛け算して、およそ56万円の増税になるのです。

ヘタ字のコラム

来年のことを言うと鬼が笑うか、笑わないか の巻

来年のことを言うと鬼が笑う、といいますが・・・

来年(2020年)から、毎月の給与から天引きされる源泉税が変わります。多くなるんですね。つまり増税です。
ただし、みんながみんなというわけではなく、増税になるのは一部の人。年収が、およそ850万円を超える人に限られます。給与所得控除なる給与所得者特有の控除が小さくなるのがその理由です。

でも、じつは給与所得控除が小さくなるのは、年収850万円以上の人に限りません。全員が小さくなります。ということは全員増税になるはず。ところがそうならないのは、基礎控除という全員対象の控除が同じだけ増えるから。ある控除が減って、別の控除が同額増える。行って来いで、差引きゼロ。なので増減税なしです。

では、850万円以上の人はなぜ増税になるのか? その人たちは差引きゼロではなく、給与所得控除の縮小幅のほうが多い(給与所得控除の縮小 > 基礎控除の拡大)。なので増税というわけです。なにがなんだか、わけわからなくなってきましたね。
年収850万円以上の鬼は、来年のことを言っても笑わないのかな。

この号が令和元年の最終号です。来年が皆さまにとって、笑いの絶えない年になりますよう。

(駿馬)

今月のことば

ゆっくり歩いて遠くまでゆこう

── 森覚志(森伊蔵酒造 第五代当主)

今月のすうじ

27億円

某社が税務署の調査方法に不満を抱き、1年4ヶ月にわたり領収書の提示を拒否。提示拒否、つまり見せないということは、“ない”のと同じ。裁判所がこう判決し、追徴された消費税が27億円。もともとの税額は2億円だったので、10倍どころではない負担増。意地を張ったばかりに・・・(もちろん、当事務所のお客さまの話ではありません)。

編集後記

12月1日から、ながら運転に対する罰則が強化されました。
道交法第七十一条によると「ながら運転」とは「自動車等が停止」していない時に携帯電話などで「通話」または携帯電話やカーナビの「画像を注視」することを指します。
ながら運転で事故を起こすと一発で免停となりますし、何より危険ですから皆様もより一層のご注意を。

(山本)

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