Vol.097 106万円は新たな壁になるのか
◎今月のことば
「例がないからやってみよう。やらないと何も起こらないから。」
全国2500社の社長の座右の銘を集めた本『社長、曰く』から。紹介したのは、創業24年目、65歳の社長(長野県、趣味:読書)の座右の銘です。
TOPICS
106万円は新たな壁になるのか
今年10月から、社会保険の加入対象となる人が拡大されました。
新たに対象となるのは、従業員501人以上の企業に勤める、学生ではない、勤務期間が1年以上で、週の勤務が20時間以上で、月収が88,000円以上の人です。
壁が多くてよくわからない?
これまで働くうえで意識されてきた「壁」には、所得税の被扶養要件“103万の壁”や、社会保険の被扶養要件“130万の壁”などがありました。
これらの基準は変わらないため、今後は自身の社会保険加入要件である“106万の壁”を加えた3つの壁が意識されるでしょう。
有利不利は一概には言えない
“106万の壁”を考えるには配偶者の側の属性や所得の額、給与所得であれば家族手当の有無なども絡むため、簡単に有利不利を断じることはできません。
介護や子育てなどの事情で働く時間を今より増やせないケースもあると思います。
前倒し導入したイトーヨーカ堂では
スーパー大手のイトーヨーカ堂は8月から前倒しで加入対象を拡大しました。
新たに対象となったのは、これまで社保に加入していなかったパート従業員の半数にあたる約8,500人で、そのうち7割が勤務時間を短縮して社保に加入しないことを選んだようです。
3年後には中小企業も対象に?
今後の適用範囲については平成31年9月までに検討を進めることになっており、中小企業に適用が広がることも十分に考えられます。
女性活躍を謳うならば、壁を増やすようなルール作りは逆効果に思えます。
(山本)
ヘタ字のコラム
配偶者控除、見直しの見直し、の巻
配偶者控除、⾒直しの⾒直し
2017年度の税制改正の⽬⽟は、所得税の配偶者控除。ず〜〜っと以前からの課題だったけど、いよいよ⾒直されることになりそう。先⽉の当欄でこんなことをご紹介しました。改正の向かう先は、配偶者控除を廃止して、代わりにあたらしい控除をつくるというものです。新・控除は結婚している人だけが受けられる、その名も夫婦控除。
ところが、さっそくその⾒直しが⾒直しされることになりました。
配偶者控除の廃止は、なくなる模様です。廃止がなくなるということは、存続ということ。
政権与党のえらい人が「夫婦控除はなかなかやっかいだわい」と言ったとの由。夫婦控除の言い出しっぺはそのえらい人なですけどね。 なにやら、近々あると噂される衆議院の解散がその背景にあるようです。
だとすると、配偶者控除は、すくなくともあと数年は存続します。
150万円の壁の出現
配偶者控除はつづく。
しかも、なんと壁が高くなる可能性がでてきました。今ある103万円の壁を150万円まで高くしようとの案が出ています。
150万円というあらたな壁の出現。壁が多くてよくわからない。──どこかで読んだ気がする。
壁を高くすると配偶者控除を受けられる人が増えます。税収が減る。それは困る。
ということで、壁が高くなると、所得の高い旦那さんは配偶者控除を受けられないことになりそうです。
*2016年10月7日の新聞報道にもとづいています。
(駿馬)
編集後記
10月だというのに、秋らしいと思える日がなかなかありませんね。
そういえば、栗もまだ食べていません。夏がまだ残っているような暑い日だったり、そうでなければ雨が降っていてじめじめとしている。高い、透き通った秋の空はどこにいったのでしょうか。これから晴れが続くというので、少しずつ秋を期待します。(和﨑)
◎今月のすうじ
30%増しで。メールはこちらが思っている以上に相手に冷たく伝わるもの。故に感情30%増しくらいの表現でちょうどいい、とか。